天然酵母とイーストの融合

その充実した学びの内容に、毎年多くの先生方から反響をいただいているサマーセミナー。
なかでも、フランスのMOF取得者、ジョエル・ドフィブ先生をお招きした2008年のセミナーは、皆さんに大きな好評をいただきました。

セミナーのテーマは「液体天然酵母を用いたパン」。
体に優しい天然酵母ですが、同じ量で比較するとイーストよりも酵母菌が少ないので、発酵に時間がかかり、さらにボリューム不足になってしまいます。
しかしこれは、イーストを併用することで解消されます。
ジョエル先生は、天然酵母とイーストのそれぞれの良いところを引き出すことで、新しい風味を持つ、よりおいしく健康に優しいパンを作りましょうと教えてくださいました。

フランスのパン文化をレクチャー

セミナーで使用したルヴァンリキッド(液体天然酵母)は、ジョエル先生がはるばるフランスから持ってきてくださったもの。
温度と時間管理がことに大切なこの酵母は、作業場や生地の温度、水温、湿度などさまざまな要素が影響し、培養にも手間ひまがかかります。
だからこそ焼き上がりの味は格別。美味しい物を作るには、丁寧できめ細やかな作業が必要であることに、改めて気づかされるひとときでした。

教えていただいた多くのパンのなかでもとりわけ印象的だったのは、MOFでも必ず課題パンとして出題されるというバゲットとクロワッサンです。
バゲットの配合材料には水分が多く含まれているので、たいへんやわらかい生地に仕上がります。生地を扱う先生のしなやかな手元とともに、職人技の言葉がふさわしい手早いクープ入れにも注目が集まりました。
ルヴァンリキッドを入れることにより、美しい内層が出来上がるクロワッサンも、その風味の豊かさとともに、皆さんの心に刻み付けられたことでしょう。

最後には、「このセミナーを通してフランスの文化を少しでも感じていただければ幸いです」という先生のご挨拶が。
フランスの歴史や文化を大切にしながら、新しい発想をどんどん取り入れていくジョエル先生の革新的なパンづくりの姿勢に、皆さんから惜しみない感動と感謝の拍手が送られ、セミナーは幕を閉じました。

ジョエル・ドフィブ先生

1963年、フランス生まれ。16歳のときからドイツやフランス各地でパン作りの技術を磨く。
フランス国立製パン製菓学院専任講師。
その技術やパン業界における職業指導活動などが評価され、2004年MOF(製パン部門)を取得。