【パン作りの基本】パンの加水率とは?計算方法と水分量による違いを解説
パン作りをしていると、「加水率」という言葉を目にすることがあります。
「加水率って何?」
「水を多くするとパンはどう変わるの?」
「レシピによって水の量が違うのはなぜ?」
実は、水分量は生地の硬さや扱いやすさだけでなく、パンのボリュームや食感、内層の状態などにも関係しています。
今回は、初心者の方にも分かりやすいように、ベーカーズパーセントの基本から、水分量によるパンの違い、水以外の材料に含まれる水分、水の種類や湿度による影響まで解説します。
そもそも「加水率」って何?
加水率とは、小麦粉の量に対して、どれくらいの水を加えるかを割合で表したものです。
例えば、小麦粉100gに対して水60gを加える場合、
60 ÷ 100 × 100 = 60%
となり、加水率は60%です。
パン作りでは、小麦粉を100%として、ほかの材料の配合を割合で表すベーカーズパーセントがよく使われます。
例えば、
- 小麦粉……100%
- 水……60%
- 塩……2%
- イースト……1%
という配合なら、小麦粉500gに対して水300g、塩10g、イースト5gとなります。
ベーカーズパーセントを使うと、粉の量が変わっても材料の配合を簡単に計算できます。
加水率に「黄金比」はある?
加水率について知っておきたいのが、すべてのパンに共通する黄金比はないということです。
小麦粉は種類によって、たんぱく質量や吸水性などの性質が異なります。
そのため、同じ加水率でも使用する粉が変われば、生地の硬さや扱いやすさも変わります。
また、食パン、菓子パン、フランスパンなど、作るパンによっても求められる生地の状態は異なります。
つまり、適正な加水率は、使用する粉やパンの種類、レシピによって変わります。
一般的な製パンでは、60%前後の加水が比較的低い加水、80%以上を高加水とする例もありますが、これはあくまで目安です。実際には粉の吸水性によって適した水分量が変わるため、数値だけで「低加水」「高加水」を決めることはできません。
そのため、レシピを見るときは「何%が正解か」ではなく、その粉とパンに合わせて、どのくらいの水分量に設定されているのかを見ることが大切です。
水分量が違うと、パンはどう変わる?
水分量が変わると、生地の硬さや扱いやすさだけでなく、焼き上がったパンの食感や内層にも違いが出ます。
ここでは、低加水・標準的な加水・高加水の特徴を見てみましょう。
低加水のパン
水分量が少ない生地は、比較的硬く、締まった生地になります。
こねる際も生地が扱いやすく、成型時には形を保ちやすいのが特徴です。
焼き上がりは、しっかりとした歯ごたえのある食感になりやすく、パンの種類によっては目の詰まった内層になります。
ベーグルやプレッツェルなど、しっかりとした食感を特徴とするパンにも低加水の生地が使われます。
標準的な加水のパン
標準的な加水では、その粉とレシピに適したバランスの生地になります。
生地がまとまりやすく、ニーディングや成型もしやすいため、食パンやロールパンなど、さまざまなパンに使われます。
ただし、「標準=○%」と一律に決めることはできません。
粉の吸水性やパンの種類によって、適した水分量が異なるためです。
高加水のパン
水分量を多くすると、生地は柔らかく、伸びやすくなる一方、ベタつきも強くなり、扱いが難しくなります。
高加水のハード系パンでは、適切にグルテンを形成し、発酵をコントロールすることで、薄いクラストと、しっとりした内層、気泡の大きな開いたクラムが特徴的なパンに仕上がります。バゲットやチャバタなどが代表的です。
一方、ソフト系のパンでも水分量を高めることで、しっとりと柔らかい食感につながります。
つまり、高加水だからすべて同じ仕上がりになるのではなく、パンの種類や製法によって仕上がりが変わります。

水だけじゃない!水分を含む材料にも注目
パン生地に入る水分は、水だけではありません。
牛乳や卵などの材料にも水分が含まれています。
例えば、
牛乳=水分+乳脂肪・乳糖・たんぱく質などの固形分
卵=水分+たんぱく質・脂質などの固形分
というように、水分だけで構成されているわけではありません。
そのため、「水を何g入れたか」だけでは、生地全体の水分量を判断できません。
特に牛乳や卵などを多く使用するレシピでは、水以外の材料に含まれる水分や固形分も生地の状態に影響します。
ただし、初心者の方が最初からすべての材料の水分量を細かく計算する必要はありません。
まずは、レシピに記載された材料を正確に計量し、実際の生地の状態を確認することから始めましょう。
加水率だけでなく、水の性質にも注目
加水率を知ると、水分量によって生地がどのように変わるのかが分かってきます。
ただし、実際のパン作りでは、水の量が同じでも、水の性質や温度、室内環境によって生地の状態は変わります。
そこで、水そのものについても見てみましょう。
水の硬度
水の硬度は、グルテンの形成や生地の状態に影響します。
極端な軟水では、生地が軟らかく、ベタつきやすくなります。一方、硬度が高すぎる水では、グルテンが締まり、生地が硬くなる方向に働きます。
日本の一般的な水道水は、パン作りに使用できます。
ミネラルウォーターを使用する場合は、硬度を確認してみましょう。
水のpH
水のpHも、イーストの働きや発酵に影響する要素の一つです。
パン作りでは、極端にpHが偏った水を使用すると、発酵に影響することがあります。
ただし、家庭でパンを作る場合、通常の水道水を使用しているのであれば、pHを細かく調整する必要はありません。
水の温度も生地の状態を左右する
同じ量の水を使っていても、水温によって生地の状態は変わります。
仕込み水の温度は、こね上げ温度に影響し、その後の発酵の進み方にも関係します。
特に夏場と冬場では室温が大きく異なるため、季節に合わせて仕込み水の温度を調整し、適切なこね上げ温度にすることが大切です。

まとめ
加水率は、パンの生地や焼き上がりを考えるうえで大切な数字です。
しかし、すべてのパンに当てはまる「黄金比」があるわけではありません。
使用する小麦粉やパンの種類によって適した水分量は変わり、さらに水の硬度やpH、温度、室内の湿度によっても生地の状態は変わります。
まずは加水率の違いによる生地の特徴を知り、そこから実際の生地を見て、触れて、状態を確認してみましょう。
加水率が分かると、「この生地はなぜ柔らかいのか」「なぜベタつくのか」「なぜこのパンにはこのくらいの水分量が使われているのか」と、レシピの見方も変わってきます。
そしてパン作りに慣れてくると、オリジナルのパンを考えたり、レシピとは違う材料を使ったりするときにも、加水率が生地の状態を考える手がかりになります。
数字と生地の変化を結びつけながら、パン作りの奥深さを楽しんでみてください。
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